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御殿荘だより
中秋の名月
台風一過の空がことのほか青く澄んで、心地よい秋晴となりました。 晴天に多くのとんぼが飛び回り、秋の夕暮れへ傾けば、夜道の茂みに虫の声。八月の過ぎから秋の色を順々に帯びているのを感じます。 九月の十七日は中秋の名月にあたります。月には兎が見えますが、実は月の異称にも「玉兎」というのがございます。兎の住んでいる円い場所。昔の人も同じことを思っていたのでしょう。そんな澄んだ秋空に浮かぶ満月は、十五夜の後、十八日になります。
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夏、到来
梅雨が明け、蝉の抜け殻をそこらに見つけ、ようやくこの忙しなさの正体が蝉の声だと知れば、愈々、本格的な夏の訪れを感じております。 京都の梅雨明けは平年並みでありますが、熱中症は特に梅雨明けに注意が必要です。対策は何よりも水分の補給。室温の確認や体調についての声掛けを行うことも効果的だそうです。 また暑さを不快に感じることがあれば、体温を下げることと水分補給を行ってください。 お食事やご宿泊なされる際は、冷たい水分をお持ちになって、十分な対策の上、体調にはお気を付けてお越しください。
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御殿荘だより
玉の露
梅雨に入り、紫陽花がいっそう色鮮やかに咲いております。 雨上がり、露の幾つかは、玉のように葉に残ります。 梅雨の調子の上がらぬ日々で見つける小さな喜びです。
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御殿荘だより
群青世界
心地よき風の吹いて、袂も軽き、初夏となりました。 上の写真は御殿荘の中庭を18時頃に撮ったものです。 中庭の青さが水原秋桜子の句「滝落ちて群青世界とどろけり」の描く青さと同じものを感じさせます。 そこには滝こそありませんが、小さな川の流れにみずみずしい若葉と、「緑陰」よりは「鬱蒼」の似合う陰影の群青世界がありました。
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春ののどけしを奪うもの
咲きもおくれず、散りもはじめず、御殿荘の桜は今日を見頃としています。 桜のうつくしさを歌うため、平安の和歌からたくさんの表現がうまれました。 今回はそのなかでも桜の咲き、すぐ散ることで、春の長閑さやこころの太平が乱される、という歌を紹介します。
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梅の香
三寒四温の候、上巳の節句を迎えましたがいかがお過ごしでしょうか。 御殿荘には梅の花が満開に咲いております。
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節分
寒さの厳しい日々が続きますがまもなく春となりますね。 節分の準備はいかがでしょうか。 昔の日本では季節の変わり目に鬼が生じると考えられていました。 節分、専ら立春の前日を指すこの日に無病息災の追儺を取り仕切るのです。 この時に使われる福豆のことを「魔滅」と呼びます。 それを鬼の目に投げつけてぶつけることにより、追い払うのです。
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新年のご挨拶
謹んで新春をお慶び申し上げます。 旧年中は格別のお引き立てを賜り深く感謝しております。本年も更なるサービスの質の向上に対して社員一同努めて参りますので今後とも何卒よろしくお願いいたします。 末筆とはなりますが、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
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紅葉の錦
木々の葉のゆったりと色づく錦繍の秋が訪れて、山も秋の様相を帯びてきています。 京都での紅葉の見頃は、十一月の中旬から下旬に一番となるようです。
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御殿荘だより
招霊の木
気づけば夜の長く、秋風を感じるような頃になりました。 御殿荘の前には神霊を招くとされる縁起の良い木が聳えています。それが招霊の木(おがたまのき)であります。
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徒なる蝉と、秋景色。
まだまだ残暑が続いておりますが、ふと気づくと空の高さの遥かな秋が訪れたのを感じます。 思うことに異常気象のせいか、夏の終わりにやっと鳴き出す蝉を中庭に見つけることがあります。そんなとき、彼らを「徒蝉(あだぜみ)」と呼ぶのはどうであろうか、と。 徒蝉。季節外れに這い出て鳴く蝉。そんな儚い夢とも見える蝉の音が秋の寂しさを醸している。そんな単語をおもったのです。 彼らの残る中庭はこれから秋の近づくにつれて苔の緑と紅葉の赤と黄色に色めき、秋の虫も鳴き出します。 やがて夏は終わり、音と色の富んだ美しい季節が訪れるのです。
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紫陽花の咲きたるに。
じめじめとした梅雨の季節、気分のふさぎ込むような日々のなかで、紫陽花を眺めてみるのはいかがでしょうか? 梅雨の代表的な花でございますが、当館の庭園にはホンアジサイとガクアジサイの二種が咲きます。 面白いのは、この二種の紫陽花は真逆の花言葉を持つことでございます。ホンアジサイの花言葉は「移り気」「冷酷」「高慢」であり、それに対してガクアジサイの花言葉は「謙虚」であります。「謙虚」という花言葉は、花の少なく咲かせる姿がしとやかにみえることに由来していると聞きます。 雨のない晴れ間に咲く紫陽花に足を止める。数少ない梅雨の喜びでありましょう。